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Channel: スポーツナビ+ タグ:タイミング
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涌井と内海による静かなるタイミング対決

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G×L @東京ドーム 6/18 NHK 竹林アナ、解説:与田剛 6/19 BS日テレ 河村アナ、解説:水野雄仁、立浪和義 二戦目のライオンズ先発はアンダーハンドの牧田投手。同じアンダーハンドの、マリーンズ・渡辺俊介投手や、昔の松沼博久や山田久志と比べて、上半身にも下半身にも横幅があってがっしりした体つき。新鮮味あるサブマリンではないでしょうか。テンポもよく、遅い球で打者を翻弄する姿はやっぱり見ていて爽快。顔つきも勝てるピッチャーっぽい印象です(勝手な個人的視点)。残念ながらジャイアンツ打線に、ふた回り目に入ってつかまえられましたが、今後が楽しみ。 この珍しいアンダーハンドとの対決を意識した質問を、河村アナは立浪氏に投げかけました。初めて対戦するピッチャーの球筋を打席で見る時、バッターが対応するために一番大事にしていることは何でしょう、と。立浪氏曰く、「いろんなことを考えてしまうんですけど、結局、どんなピッチャーが投げてもベースの上を球は通っていくんですね。だから、絶対に『自分のタイミングを崩さないということ』が一番大事です」 この日、ピッチャーの身体の軸の大事さを水野氏が語ったとき「軸が大事なのはバッターも同じ」という話に至ったのですが、立浪氏の言う「自分のタイミングを崩さないことが大事」についても同じなのではないでしょうか。ピッチャーにも該当するような気がします。 それを如実に感じさせてくれたシーンが1戦目にありました。 7回裏、2対1でジャイアンツが1点リード。ともに先発が投げ続けている引き締まった試合。内海投手はここまで3安打ピッチングでした。ワンアウトランナーなしで、打席に入った藤村選手は初球にセフティバントを試みピッチャーゴロ。次は9番の内海投手です。 ところが、初球で藤村選手がアウトになってしまったせいか、内海投手はネクストサークルにさえ、まだ出てきてはいません。ベンチの中でプロテクターを腕に付けたりヘルメットを被ったり、打席に入る準備を急いでしている姿が映し出されました。ネクストサークルで次の打者は準備を、というNPBのスピードアップ申し合わせがあったような気もしますが、どこへやら。ここで、試合にしばしの間(ま)が生じてしまいました。選手も観客も「内海投手待ち」状態です。 さて、ようやく内海投手が打席に入りました。と思ったら、今度はどうでしょう。マウンドの涌井投手がマウンド後方へと下がり、スパイクの紐をゆっくりと結び直し始めたではありませんか。紐が緩んでしまったのなら、内海投手がベンチで準備している時間に結び直してもよさそうなものなのに。ところが涌井投手はそうはしなかったのです。内海投手に待たされるという、相手が主体となっている時間に合わせて紐を結び直す、などということはしなかったのです。対決相手に待たされたのなら、今度は自分に合わせてしばし待ってもらおうではないか、といわんばかりの絶妙なタイミング。 あくまで、相手のタイミングに自分を合わせるのではなく、自分のタイミングに相手を合わせさせようとする。そんな意図を感じる、涌井投手の靴ひも結び直し、とお見受けしました。いっぽう、靴ひもを結び直している姿を、バットを半分構えたまま打席の中から眺めている内海投手の目も印象的でした。まるで涌井投手の意図を見透かしたよう。そうきたか、涌井。受けて立ってやろうじゃないの。とでも、喉の奥で静かにつぶやいていそうな面持ち。いっぽうの涌井投手は終始ひょうひょう。ボールが一球も投じられていない前から、二人の間に静かなる戦いが繰り広げられていたような気がしました。 ちなみに、内海投手はこの打席で内野安打。続く坂本もヒット。ツーアウト一・二塁となったところで、涌井投手は降板し、内海投手はその後ヒットを打たれることなく完投したのでした。

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